世界はにわかに動乱の季節を迎えた。
日本周辺海域の波はことさら高い。
「北」のミサイル、空母を持った中国、混迷の中東、
通貨危機とTPP、そして黄昏れゆく日米同盟―。
表に出てこない裏事情、報道レベルを数段超えた
インテリジェンスで「今そこにある危機」を分析
しつつ、縮みゆく日本を毅然として回復
させる道筋を示す黙示録的一冊。
「係争の地は指導者の器量を洗い出す」英国の
老外交官からこんな言葉を聞いたことがある。
領土をめぐる紛争は、国内のナショナリズムに火を
つけるので、政治家のリーダーシップが問われる。
インテリジェンスの世界は学術の世界と行き来が多い。
関係性が一番高いのが、おそらくイスラエルの
モサドだと思う。
米国議会の有力議員の発言権は絶大であるから、
当然、政府側とも周到なすり合わせの
上で発言している。
上院の軍事委員会は、ペンタゴン高官の人事権、
軍事予算の承認権、国防関連法案の提出権
という大権を握っている。
アメリカ政治には「ホワイトハウスと議会の
2つの心臓がある」と言われるゆえん。
沖縄はまさに資源王国の中央に位置している。
かつては、大国の力がぶつかり合う
主戦場は大陸であった。
19世紀のグレートゲームの舞台は
中央アジアだった。
ところがいまや、大国間の力の衝突の主戦場は、
サイバースペースや宇宙空間、そして
海底に移りつつある。
沖縄は計り知れないほど重要な要石なのである。
「いかなる形であれ、自らの陣営に戦略上の
真空地帯を生じさせてはならない」ロン
ドンの外交専門家の言葉。
周辺から乱気流が流れ込んで
天下大乱のもとになる。
情報の世界では、食い込もうとする相手の政敵
の情報を握っていなければならない。
そのためには必然的にダブル・エージェント
の性格を帯びている。
中国で起こった薄熙来事件。
英国は、彼の息子をオックスフォード大学へ
入れるための便宜をはかり工作した。
国を挙げて薄熙来一家を取り組むために、
「オックスブリッジカード」を切った。
貴重な情報源に仕立てるためには、
十分に回収が見込める投資である。
将来に備えて人脈を作っておく。
老情報大国イギリスのなかなか狡猾な
インテリジェンス工作と言っていい。
ウクライナは旧ソ連の兵器廠そのものであり
、核兵器も多く配備された。
その点、ウクライナこそ、世界の枢要な兵器廠
でもあり、戦略上の要衝であった。
この国に目をつけた中国の戦略眼は
さすがというべき。
作りかけの空母もここから調達した。
中国とウクライナは地下水脈で
繋がっていると見立てでよい。
中国の研ぎ澄まされたインテリジェンス感覚
ゆえに掘り当てた金鉱脈、それがウクライナ。
シリアのアサド政権が完全に崩壊しないのは、
第一にイラン、第二にロシアからの
支持があるため。
イスラエルにとってもアサド政権
の存続が望ましい。
イスラエルは、何でもいいからゲームのルール上、
要するに交渉の窓口、一元的に国家を管理できる
ようなプレイヤーがいないと困る。
アサド大統領にかわるプレイヤーが
いないというわけ。
「危機の指導者というものは、自分が限られた
知識しか持っていないことを自覚すること
が何より大切だ」ドナルド・ラムズ
フェルド元国防長官の言葉。
知っていると奢る指導者ほど過ちを犯しやすい。
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今回も最後までお読みくださり、ありがとう
ございました。感謝!