「掃除の神様」と呼ばれて久しい鍵山
秀三郎さんに、久しぶりに本誌で
ご対談にご登場いただきました。
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鍵山 秀三郎(日本を美しくする会相談役)
×
佐藤 しのぶ(声楽家)
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【鍵山】
もう一人は、高校時代の恩師で
ある佐光義民先生。
この方はあまり教科書を使わず、人間と
していかに生きるべきかを授業の中
で繰り返し説かれました。
また、「この本を読みなさい」と言っ
て、例えば、今北洪川の『禅海一瀾
(ぜんかいいちらん)』を薦めて
くださいました。
その時のやりとりをいまでも
覚えているんです。
私がその本を見て、「こんな難しい本は
私には無理です」と言ったら、「分か
らなくていいんだ。分からない、
難しい、そう思うことが大切だ」と。
【佐藤】
特に印象に残っている
言葉はございますか?
【鍵山】
読んでいるうちに、二つの言葉に
感銘を受けました。
一つは「百萬(ひゃくまん)の典経(てん
きょう) 日下(にっか)の燈(とう)」、
知識は大事だけど、実践の伴わ
ない知識は何にもならない。
もう一つは「朽木糞牆(きゅうぼく
ふんしょう)」です。
朽ちた木では彫刻はできず、腐った
壁では塗り替えはできない。
そういう人間になってはいけないという
ことを子供ながらに学びましたね。
【佐藤】
示唆に富んだ教えです。
【鍵山】
卒業後も折に触れて伺って、その度に
いろいろな話をしてくださいました。
中でも忘れられないのは「心身を浄化し、
これを以て国家を厳浄せよ」、まず自
分自身を清めて国を綺麗にしろと。
私は2年3か月前に脳梗塞を
患って体も不自由です。
苦痛に耐えるだけで精いっぱい。
それでも生きている限り世の中を少し
でもよくするために働かなければ
いけないと思うのは、佐光先生
の教えがいまも私に宿っているからです。
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『致知』2018年3月号【最新号】
特集「天 我が材を生ずる 必ず用あり」P60
今回も最後までお読みくださり、
ありがとうございました。感謝