私たちは悠久の歴史を通して先祖から連綿と命を受け継いでいる 第 2,376 号

私たちの心は常に動き回り、
安定していることがありません。
良いことを考えているかと思えば、
次の瞬間には悪いことを考えたりしています。

この頼りない心をどのようにしたら強くし、
心との絆を深められるのでしょうか。
シスターで文学博士の鈴木秀子先生がその
ヒントを示します。


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(鈴木) 
私たちの心は時間や空間を超えて常に動き回り、
なかなか定まることがありません。
迷いや苦しみ、妄想を生み出すのもまた心です

しかし、隠れていた心の力を発揮して
厳しい試練を乗り越えた経験をすると、
そこに心に対する信頼と絆が生まれます。
心の力を生かした経験が、
心は頼りないものという固定観念を
吹き払ってくれるからです。

再び極限状態に身を置くようなことがあったと
しても、「これには何か深い意味があるのだ。
幸せに繋がることなのだ。必ず乗り越えられる」
という自信が湧き出てきて、乗り越えることが
できます。


時には、解決までに長い時間がかかるような
複雑な問題に遭遇することもあります。
悩み、苦しみ、葛藤など心は常に乱れます。
それでも心の力を信じ抜く中でいつしか問題に
深い意味を見出し、「辛いと思っていた出来事
が自分を一回り大きく成長させてくれた」
と思う日が必ずやってくることでしょう。

(中略)

人生の幸不幸を決めるのは、周囲の環境では
なく、結局は心の持ちようです。
昔から「若い時の苦労は買ってでもしろ」
「艱難汝を玉にす」という言葉があるように、
苦しみに遭遇した時、「これも心を磨く機会」
と自分の心を労りながら状況を静かに受け
入れていくか、それとも自暴自棄になって
自他を責め続けて生きていくか、そのどちらを
選び取っていくかで人生は大きく
変わっていきます。


辛くても現実を受け入れながら、
決して無理をせずにその日やるべきことを
コツコツと淡々と続けていく中で、
人格を高め幸せになっていった人たちの姿を、
私もこれまでたくさん見てきました。

私たちは大いなる存在によって命を与えられて
います。

昨年亡くなった遺伝子工学の権威・村上和雄先生
はそれを「サムシング・グレート」と名づけ
られました。自分がいかに弱く醜いように見えて
も、大いなる存在はその自分を絶対的に信頼し、
守ってくれています。

その人の「あいらしいこころ」を見つめ、
数々の試練を乗り越えるだけの力を与えて
くれているのです。


さらにいえば、私たちは自分一人で生きている
わけではなく、悠久の歴史を通して先祖から
連綿と命を受け継いでいるという事実も忘れては
いけません。無数の先祖のそれまでの努力や愛情
が自分という存在の中に結実しているのです。

そう考えれば、力と勇気が
自然と湧いてくるのではないでしょうか。

※『致知』最新号連載「人生を照らす言葉」より
鈴木先生のこの連載は好評を得ています。

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  今回も最後までお読みくださり、

      ありがとうございました。感謝!

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