私利私欲を捨て社会全体を考える人物が真に大成する 第 2,327 号

「国民教育の師父」といわれた
森信三先生の代表的著作『修身教授録』。
これまでに48刷、発行部数は15万部を突破し、
いまもなお読み継がれる本書を、
座右の書としているのがSBI
ホールディングス社長の北尾吉孝さんです。

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(北尾)
森信三先生の思想哲学の根底に流れるものに
「相対観からの解脱」という考え方があります。

私たちは、地位や名誉、財産など
あらゆる問題を他の人と比較しながら
相対の基準で生きています。

その結果、嫉妬心や憎しみなど様々な感情
が生まれて自他を蝕んでいきます。

ところが、比べることをやめることで
「絶対最上」になると森先生はおっしゃって
います。


自分が尊い人身を天から与えられた唯一無二の
最上の存在であることに気づくというのです。

天という大きな視点から見たら、
自分は賢いと思っている人も、愚かだと
思っている人も大した差はありません。

仏教ではこれを「賢愚一如」と言います。
自分が絶対最上の存在であるとすれば、他人を
気にすることなく、自分が為すべき務めを、
ただ淡々と一所懸命にやりさえすればいいのです。

私の事業家としての経験から見ても、相対観で
物事を判断する人は決して大成することが
ありません。


自分という小さい枠に囚われてしまって、
大きな視野を見失ってしまうのです。逆に、
私利私欲を捨ててでも社会全体をよくして
いこうという大欲を持つ人材の中にこそ
真に大成する人物がいると言ってもよいで
しょう。


※『致知』2018年4月号
特集「本気・本腰・本物」より一部抜粋


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