JPモルガン証券、ドイツ証券などで営業
部門責任者を務めた著者が教える「これ
から外資系企業で働く人に知って
おいてほしいこと」。
将来大きく花を咲かせるための地道な
ビジネスの種まきは大事だ。
♦自ら退路を断つな!! 悩んだ末に、会社
を辞める決断をすること自体は仕方ない。
問題となるのは、辞める時の辞め方だ。
ヘッドハンターが、あるセールスマンに
ついてこう言っていた。
「福留さん、彼は以前に一度今の会社を
辞めたのですが、3年前に戻りました。
2度も同じ会社に採用された人は、信頼
できる人だと思いますよ」
つまり、一度目に会社を辞めたとき、彼
はきれいな辞め方をしたのでしょう。
彼の後任者にも丁寧に引き継ぎをし、辞め
た後も会社の悪口を言ったりせず、それ
までお世話になったことの感謝の気持
ちを態度に表していたかもしれない。
退路を断つと、自分自身が一番苦労する。
♦メモ一つが仕事人生を決める。
「良いメモ」には作成した人のオリジ
ナルの分析と予想が付加される。
詳細までしっかり調べ、役に立つ情報を
提供できれば、ほぼ間違いなく
あなたの評価は高まる。
メモを見れば、その人の能力の高さと
仕事への意気込みがひと目でわかる。
マネージャーの視点から言えば、良い
メモを作成できる人には、より重要
な仕事を任せたいと思う。
そのくらいメモが仕事人生を左右する。
資料作りなどの、どんな会社にでもある
こうした日々の単純作業にも見える業務
で、周囲を「あっ」と驚かせるほどの
内容にすることができれば、未来
は一気に開ける。
会社側は、単純作業ゆえに若手に任せて
いるのではなく、教育的効果をも見込
んで若手にこの重要な役割を任せて
いることを忘れないでほしい。
♦上司の飲みの誘いを断るな。
上司や先輩は、将来を期待している
部下や後輩を主に飲みに誘う。
そこでは、慌ただしい職場では話せない
ビジネスの深い部分を話し、部下が成長
できるように配慮してくれるのだ。
そのため、若手にとっては貴重なビジネス
の話を聞くことができる絶好の機会だ。
「今日、あの顧客から大きな
ビジネスが来ただろう。
あれは、たまたま来たんではないんだ。
昨年から先方の役員を交えて、粘り
強く下準備をしてきた成果なんだ。
これが成功した秘訣はね・・・」と普段
は聞けない話が次から次へと出てくる。
いくら机上で勉強しても知ることのでき
ない、まさに「生きた授業」なのだ。
「面倒くさい」と思う上司や先輩からの
誘いの中に、他者と差別化できる
ヒントが隠されている。
結局のところ、「せっかく上司や先輩が
誘ってくれたのだから」と純粋に思える
人が最も報われるのかもしれない。
♦間接部門を大切にせよ。
花形といわれるセールスやトレーダーたち
は、一人で仕事を完結できるわけではない。
取引するためのシステム構築や書類整備、取
引後の事務処理や報告書作成など、彼らが
実績を上げるための前提となるシステム
や事務的処理などが数多く存在する。
♦「弁当の注文」も見られている。
ある先輩は、若手の弁当注文係についてこう言っている。
「日頃から周りをよく見ている奴は、
前日にこの人は接待だったのだから
あっさりしたものがいいのでは、とか、
昨日は魚がメインの昼食だったのだから
今日は肉がいいのではなどと判断できる。
ぼけーっとしている奴はそこを見ていない。
そんな奴に客商売なんてできませんよ」
弁当を買うのにその人の営業センスが
出るものなのだ、と勉強になった。
「俺が食べたい弁当が分からないようじゃ、
顧客を担当するのは時期尚早だな」
相当に無理のある理屈だが、
妙に説得力があった。
♦視点は常に「経営レベル」であれ。
上司の威を借りる。
15年前、先輩から、「福留、お前の上席
の上席は誰か知っているか?その上も
知っているか?」言われた。
「詳しく知りませんが・・・」と答える
と、「お前、そんな甘ちゃんでどうやって
この世界で生きていくつもりなのだ?」
先輩いわく、「上司の上司、できれば
そのまた上司といつでも話ができる
状況を作っておけ」ということ
を私に言いたかったのだ。
社内において他者を牽制する最善の方法は、
その人よりもさらに上のクラスと懇意に
なっておくことだ。
「福留、お前は上司や他人の権威を
借りて仕事をするのは気が進まない
などと考えているのだろうが、目
的遂行が何よりも重要なんだ。
中途半端なプライドは捨てろ」先輩の
言葉は、私の胸に刺さった。
♦あえて「遠回り」をしろ。
外資で営業をしていた頃、私は直接の
取引窓口ではないお客様の部署に
よく出入りしていた。
このような動きは、営業上は一見
遠回りのようだが、ときに思って
もいないような貴重な情報を得
られるから不思議なものだ。
しかも、ライバル会社は出入りして
いないことも多いので、クリティ
カルな情報を得られる。
♦仕事では大きな絵を描け。
私には空想癖があると自覚している。
「この案件はこうすれば、こうなるな。
さらにこうすると、こんな凄いことに
なるなあ」などと風呂場でよく
空想している。
そして、翌日から実際にその
考えを実践している。
すると、意外にも空想したことが
実現したりする。
もちろん、空想しただけでは実現でき
ないのだが、空想しなければ実現は
しないとも言える。
そして、その空想の中で描く絵の大きさ
によって、実績も変わってくる。
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今回も最後までお読みくださり、ありがとう
ございました。感謝!