≪宇宙には「知恵の蔵」がある≫
日本発の国際賞「京都賞」を創設し、
人類社会に多大な貢献をもたらした
人物の顕彰を続ける稲盛和夫さん。
その真意とは?
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稲盛 和夫(京セラ名誉会長)
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──これまで105名もの錚々たる方々を
表彰してこられたわけですけど、受賞
者に共通する点は何かございますか?
皆さん一様におっしゃるのは、画期的な
発明や発見に至るプロセスにおいて、人
知れず努力を重ねているさなか、ある
いはふと休息を取っている時や寝て
いる夢の中で、まるで神様の啓示
の如く、創造的な閃きを与えら
れる瞬間があるということです。
ひたむきに自分の専門分野の研究に打ち
込んでおられる方というのは、時と場合
によっては、暗中模索だったり、行く
先に迷われたりするかもしれません。
しかし、京都賞を受賞される皆さんは
そういうことがあっても、まっし
ぐらに進んでおられる。
一所懸命研究をやっておられる。
この宇宙には知恵の蔵、真理の蔵という
ものがあって、純粋な情熱を傾けて一心
不乱に取り組むその真摯な努力に対
して、神様は知恵の蔵の扉を開
き、一筋の光明が差すように、
困難や障害を克服するヒン
トを授けてくれるのでは
ないかと思います。
──稲盛名誉会長もまた、仕事を通じて
知恵の蔵の扉を開いてこられましたね。
私自身も技術者として、経営者として、
長くものづくりに携わってきました
が、偉大な存在を実感し、敬虔
な思いを新たにすることが
少なくありませんでした。
必死になって研究に打ち込む中で、自分
でも気がつかないうちに知恵の蔵に蓄え
られた叡知の一端に触れ、画期的な
新材料や新製品の開発に成功し、
事業を発展させ、充実した
人生を歩んでこられたと感じています。
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先達の生き方から学ぶ
「働き方」「考え方」
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『致知』2018年5月号【最新号】
特集「利他に生きる」P10
今回も最後までお読みくださり、
ありがとうございました。感謝