茶道裏千家第15代・前家元の千玄室氏は、
数えで100歳を迎えられました。
戦時中は特攻隊員として死を直視し、
戦後は亡き戦友たちの思いを胸に抱きながら、
茶道を通した世界平和の実現に力を尽くされ
ました。
氏は100歳のいま、「命の尊さ」について
どのようにお感じになっているのでしょうか。
『致知』4月号のロングインタビューの一部を
お届けします。
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(──先生は命の尊さについて、
どのようにお感じになっていますか。)
私はよく言うのです。
「いのち」の「い」は「生きる」こと、
「の」は「望み」であると。
人間は、生まれて育っていく過程の中で
「自分は何になりたいか」と、
進むべき方向を自分で決めるわけでしょう?
命を与えられた以上は生きるための望み、
目的を持たなくてはいけません。
いまは自分の望み、願望を語れない人が増えて
います。そうかと思うと、望みが叶わないから
といって簡単に他人を傷つけたり、他人に責任
を転嫁したりする。こういう卑怯者の
ようなことをやってはいけませんね。
自分の人生は最後まで自分で責任を取らなくては
いけませんし、望みというものは、どういう
状況に置かれたとしても決して失っては
いけないのです。
最後の「ち」は「血」です。人間は皆、親から
血を受け継いでいまを生きています。
血は先祖から連綿と繋がっている。だけど、
そのありがたさを忘れてしまっているのです。
親に対してどうのこうのと言うのだけれども、
両親からいただいた血を大切に生かすことは
人間の役目です。
そこに初めて「命の尊さ」があるわけです。
(―─噛み締めないといけない言葉ですね。)
これは日本人だけでなく世界中の人々も皆一緒
ですよ。皮膚の色が違っても、言葉が違っても、
国が違っても人間は同じである。
その人間は誰もが大きな使命を担っている。
使命と言いましても、最初から答えが
与えられているものではありません。
いろいろなことを学びながら、
経験を重ねながら自分の役割は何か、
答えを出していく以外にないのです。
※千玄室氏の連載「巻頭の言葉」も好評です。
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今回も最後までお読みくださり、
ありがとうございました。感謝!