京セラ、第二電電(現KDDI)創業者であり、
一代で一兆円企業を築き上げた稲盛和夫氏。
そんな稲盛氏が、度重なる困難の真っ只中で気づ
いたもの――真摯に生きるすべての人にひらかれ
ているというある「蔵」についての逸話を通じ、
その経営哲学の真髄に迫ります。
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(稲盛)
「知恵の蔵」の扉をひらき、
その叡知を得るにはどうしたらよいのでしょうか。
それには、一点の曇りや邪心もない純粋な心を
持って、燃えるような情熱を傾け、真摯に努力
を重ねていくことしかないと考えています。
美しい心を持ち、夢を抱き、懸命に誰にも負け
ない努力を重ねている人に、神はあたかも行く
先を照らす松明を与えるかのように、「知恵の蔵」
から一筋の光明を授けてくれるのではないで
しょうか。
私は、自分自身の経験から、強くそう思うのです。
そうでも考えなければ、どこにでもいそうな
青年でしかなかった私が、京セラやKDDI
といった企業を設立して、今日のように発展
させることができた、その理由を説明する
ことができないからです。
京セラの創業にしろKDDIの創業にしろ、
私は寝ても覚めても仕事に没頭し、
それこそ「狂」がつくほど、凄まじい勢いで
働いていました。「世のため人のため、この事業
をなんとしても成功させたい」と強く願い、 必死の思いでひたむきに仕事に取り組んでいました。
その努力の報酬として、
「知恵の蔵」に蓄積されている叡知の一部を
与えていただいたのではないかと思うのです。
この「知恵の蔵」の恩恵を受けることができるのは、
新規事業の立ち上げや新製品開発など、
創造的な仕事に取り組んでいる人だけではあり
ません。
美しい心を持って、一心不乱に何かに取り組んで
いる人は等しく、その恵みを受けることが
できると私は考えています。
※本記事は致知出版社刊『「成功」と「失敗」
の法則』(稲盛和夫・著)より一部を
抜粋・編集したものです。
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今回も最後までお読みくださり、
ありがとうございました。感謝!