今年創業150年の節目を迎える
老舗菓子舗、たねやグループ。
最新号には、たねや4代目として
経営を率いる山本昌仁社長に
ご登場いただいています。
たねやの事業を拡大していった
先代の父の後ろ姿から、
自然に後継者としての自覚を
深めていったという山本社長。
その歩みから事業継承の要諦を学びます。
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(山本)
私は1969年、二人兄弟の長男として
近江八幡で生まれたのですが、
先代の父・德次は仕事に夢中で
ほとんど家にいませんでしたね(笑)。
もともと一店舗しかなかったたねやを、
商才に長けた父が十店舗、二十店舗……
と増やして大きくしていったんです。
父の仕事に懸ける情熱は異常でした。
仕事がてら一緒に外出した時も、
父は仕事に夢中で、私たち兄弟を置き去りに
して一人帰ってしまうこともよくありました。
(――凄まじい没頭ぶりです。)
(山本)
また、私が子供の頃は
自宅がお店と工場の近くにあり、
従業員が家に寝泊まりして
一緒に食事をするなど、
本当に家族的な経営で、
24時間お菓子の中で
生活しているようなものでしたね。
(――お菓子と共に育っていかれたのですね。)
(山本)
そして小学4年生の時、
隣町にお店を出すことになり、
家族で引っ越しました。
十分な資金がなかったため、
住んでいた家を売り払い、
銀行にお金を借りて
新しい店舗兼自宅を建てたんです。
結局、その店舗兼自宅では
10年ほど生活したのかな……。
隣町ではたねやはまだそこまで
知られていなかったので、
同級生から「たねやって何屋?」
と言われて悔しい思いもしました。
ただ、そんな中でも、いつも一所懸命
に仕事に打ち込む父の姿を見て、
自然に自分もお菓子屋になりたい
という気持ちになっていったんです。
私にとって父は憧れの存在でした。
(――仕事に打ち込むお父様に憧れ、
同じ道に進もうと決意された。)
(山本)
最近、後継者がいないという話をよく聞き
ますが、大事なのは、どんな業種でも、
先代なり父親なりが自分の仕事に自信を持って
取り組んでいるかどうかだと思うんですよ。
私はたとえ1か月会えなかったとしても、
熱意をもって仕事に向き合う父の姿を見ている
だけで、自分も同じ仕事をやりたいなという
気持ちになった。
ですから、自分が仕事を楽しんでいないと
その魅力は伝えられないし、
自分に魅力がなければ
次に続く世代も絶対に
そうならないことを父の背中から学びました。
★最新号「伝承する」には、
山本社長のインタビューを掲載。
人生を歩みと共に、後継者としての葛藤や
老舗の伝統を守っていく秘訣を
語っていただいています。
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今回も最後までお読みくださり、
ありがとうございました。感謝!