自分が変わる最大の障害は、実は自分自身のなかにある 第 629 号

 組織論からリーダー観、人材育成術、人生哲学……

数々の弱小集団を立て直し、多くの選手の能力を

開花させてきたエッセンスがそこにある!

 野村監督と他の監督との大きな違いは、

そのミーティングにある。

 普通のミーティングでは、フォーメーションや

サインの確認を行う程度である。

 しかし、野村監督はそのようなことよりもまず、

「人生観」や「仕事観」をミーティングで

選手やコーチたちに説くのである。

 野村監督の考える人生には4つの側面がある。

1.人として生まれる(運命)

2.人として生きる(責任と使命)

3.人を生かす(仕事、チーム力)

4.人を生む(繁栄、育成、継続)

 野村監督がヤクルトに来た最初のキャンプでの「監督

ミーティング」は、休日前夜を除いて毎晩

2、3時間かけて行われた。

 ミーティングといっても、基本的にはホワイトボード

に野村監督が黙々と板書していき、それを選手たちが、

必死になってノートに写していくもの。

 補足説明が必要なところだけ、

監督が口頭で説明していく。

 当時のヤクルトでは、「野球道具は忘れても、筆記

用具は忘れるな」がキャンプ前の合言葉だった。

 野村監督が一番伝えたかった「変化する」ということ。

 監督ミーティングでも「進歩とは変わること。

変わることが進歩である」と繰り返し述べていた。

 目の前にある現実を好転させるためには、

自分が変わるしかない。

 「最大の障害は、実は自分自身のなかにある」

というのが教えだった。

 合言葉は「言い訳は、進歩の敵」

 仕事、人生は結果でなくプロセス重視である。

 プロ野球とは、結果がすべての世界である。

 しかし、野村監督は、仕事も人生も、結果主義で

なく、プロセス主義が大切だと訴え続けた。

 平凡なことを継続することこそが、

非凡なる結果への道なのだ。

 常に考えながら、テーマをもって取り組む

ことが、練習において重要だ。

 野村監督は、一流になる人の条件を

以下のように挙げている。

1.独創的な考え方やアイデアに優れている。

2.自主性と自発性をもっている。

3.観察力に優れている。

4.頂上体験や至高体験が多い。

5.旺盛な問題意識がある。

6.人から離れてプライバシーをもつ欲求が大きい。

 孤独な時間を精神的な成長に使う。

 選手の考え方を変えるボヤキ術。

 野村監督は常に聞き手を意識したボヤキしかしない。

 私も一緒にベンチにいて、最初の頃は、よくあれだけ

毎試合毎試合、ずっとしゃべっていられる

ものだと驚いたものだ。

 不思議なことにこのボヤキをずっと聞いていると、

次第に野村監督の野球学が理解できる

ようになってくるのだ。

 野村監督には無知な選手たちに教えたい

膨大な量の野球学がある。

 野村監督と落合監督は、よく話が合った。

 「俺も野球の話は好きだが、落合はオレ以上に

野球のことが好きだな」と言っていた。

 データは集めれば集めるほど、物事は複雑

ではなく簡単になっていく。

 ボヤキとは、高い理想があるからこそ口に出る。

 強い組織は、規則も厳しいものだ。

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今回も最後までお読みくださり、ありがとう

             ございました。感謝!

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