月刊『致知』で「風の便り」を連載されている
占部賢志氏は、この度、致知出版社より
『文士 小林秀雄』を上梓されました。
『致知』最新号(8月号)では、
学生時代から半世紀以上にわたって、
研究を続ける小林秀雄への思いを
綴られています。
ここでは小林秀雄が『徒然草』を
どのように読んだのかという
占部氏の興味深い考察について紹介します。
★有名な人、無名な人を問わず、
どんな世界でも各界で一所懸命に生きている
人たち。『致知』はその体験や
そこで得られた英知に学ぶ月刊誌です。
『致知』についてはこちらから
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(占部)
大学浪人時代、通信添削の国語問題で
『無常という事』に収録の「徒然草」という
エッセイを読んだのが小林作品との出会いです。
そのエッセイに吉田兼好の
「良き細工は少し鈍き刀を使う」という一句が
取り上げられていました。
はじめ何かの間違いじゃないかと思いましたよ。
普通なら、「鈍き刀」のところは
「鋭き刀」となるはずだからです。
そこで、考えた末に出した結論はこうでした。
細工の腕も一流、使う道具も一級品なら、
それぞれが自己主張してしまう。
ではどうしたらよいか。
良き細工師は自分のコントロール下に
道具を置くことで一体となり、
その調和の力によって作品を作る。
兼好も小林さんもそういうことが
言いたいのではないかと思い至りました。
この体験から私は、
世間の常識や通念を鵜呑みにせず、
自分で物を考える大事さに気づかされたのです。
早速私は本屋に走り、角川文庫版
の『無常という事』を買い求めました。
それから3年後、小林さんに初めてお会いした
とき、くたびれてしまったこの文庫本に署名を
頂きましたが、今も大切にしています。
★占部氏が『致知』に連載されている
「風の便り」は読者の好評を得ています。
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今回も最後までお読みくださり、
ありがとうございました。感謝!