自分の人生で何番目の苦しみなのか考える 第 2,544 号

潰れかかった会社をクレジットカード業界1位に
育て上げたクレディセゾンの林野宏さんと、
ビジネス・スポーツ界など様々な分野の
一流たちの脳力開発に携わってきた
サンリ会長・西田文郎さん。

運とツキを引き寄せ、仕事と人生を
切り開いてきたお二人が語り合う、
運命発展の法則とは

─────────────────
〈西田〉
私は長年、能力開発の仕事に携わってきましたが、
すべからく成功者、一流といわれる人たちは
運やツキを持っています。
ただ、私は「運」と「ツキ」は
異なるものだと思っているんです。

〈林野〉
どのように違うのですか。

〈西田〉
「ツキ」というのは、
チャンスを掴む能力ではないかなと。
思いがけないラッキーが訪れて、
それを活かした時に「ツイていた」
という言葉を使うと思います。

しかし例えば一代で会社を起こし、
成功された方などは
「自分がここまでこられたのは、
ツイていたからだ」とは言いませんよね。
「自分には運があったからだ」
と言うと思うんです。

それはなぜか。これは若い頃に人生の師から
教わったことなのですが、「苦しみを克服
した人にしか“運”はないんだ」と。

一代で大きなことを成し遂げた人は、
自分の努力ではどうしようもない様々な逆境、
ピンチを潜り抜けてきています。
その時、初めて「運」というものを
体感するのだと思うのです。

だから、会社を急成長させた
若い経営者の方などを見ていて、
「この人はツイているかもしれないけれど、
運はないかもしれない」と
感じたりすることもあるんです。

〈林野〉
なるほど。そういう言われると
運とツキの違いも分かりますね。

〈西田〉
さらに、これも同じ師から言われて
印象に残ったことですが、
「本当の苦しみというのは
人生に3回しかない」と言うんです

1回目は生まれてくる時。
記憶には残りませんが、
人は産道を潜り抜けるという
大変なことを乗り越えて
生まれてくるわけですから、
誰しも皆運があると。
もう一回は死ぬ時です。
自分の意思とは関係なく、
死は訪れ、息を引き取ります。
これは大変な苦しみですよね。

そうすると、人生で本当に
苦しむことはあと1回しかない。
それなのに多くの人は、
10番目か20番目か、
あるいは100番目の苦しみに
出遭って大騒ぎしている。
いま苦しんでいることは、
自分の人生で何番目の苦しみなのか考えろと、
20代前半で教わりました。

だから僕も苦しいことはありましたが、その苦
を楽しんで生きてきました。振り返って
みると、ツイていましたが、まだ運を感じる
ほどの苦はなかったかもしれないなと思います。

(※本記事は月刊『致知』2011年3月号
特集「運とツキの法則」の対談記事の一部を
抜粋したものです)

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  今回も最後までお読みくださり、

      ありがとうございました。感謝!

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