月刊『致知』誌面にはのべ6度ご登場いただき、
幅広いテーマでお話を賜りました。
2016年の連載「二十代をどう生きるか」より、
後から来る世代への熱いメッセージをお届け
します。
───────────────────
〈石原〉
昨年(2015年)12月16日、
私は半世紀近く携わってきた
政治の世界から引退することを決めた。
その会見の最後に、「死ぬまでは
言いたいことを言って、やりたいことを
やって、人から憎まれて死にたいと
思います」と語ったが、最近私が特に強く
感じているのは、魅力のある青年が
少なくなったということである。
私は平成7年から24年までの17年間、
芥川賞の選考委員を務めてきた。
その間、足をすくわれるような小説に
出逢えたらなと淡い期待を寄せていたが、
遂にそれは叶わなかった。
時折、閃きのある作品が現れても、
私以外の選考委員は認めようとしなかった。
それはなぜだろうか。
結局、若い書き手にしても年配の選考委員に
しても、世間受けや流行、
話題性といったことばかりを追い求め、
「こういう小説を書きたい」
「この作品は素晴らしい」
という内なる思いが感じられない。
つまり、エゴがないのだ。
エゴと聞くと悪い印象を持たれる方が多い
だろう。しかし、それは大いなる誤解であって、
エゴとは人間の個性であり、感性のことである。
フランスの小説家・スタンダールが
「エゴティズムとは、他人との関わり、
あるいは対立において利害関係を超えて精神的、
肉体的に自分を主張しようとする人間の本然的
な態度」と捉えているように、
周囲の人間からどんなに批判されても、
自分の信念を曲げずにやりたいことを貫く。
それこそがエゴである。
氾濫する情報に埋没してしまい、
情報を取捨選択したり物事に興味を持つ、
強く惹かれるといった、自分の視点を持て
ない若者が増えているのではなかろうか。
何も小説の世界だけではない。
これは大学教授の友人から伺った話だが、
この頃の学生たちは失恋をしないという。
好きな人がいても、失恋を……
※続きはWEBchichiで公開中。ぜひ
ご覧ください。詳細はこちら
致知出版社の人間力メルマガ
今回も最後までお読みくださり、
ありがとうございました。感謝!