自分の品性・品格を育て磨きあげる = 2-1 = 第 2,785 号

可能な限り、現代に則した言葉を用い、渋沢が

伝えたかったであろうエッセンスをコン

パクトにまとめることに成功。

近年出版されている現代語訳でもなかなか読み

づらいと感じている人、古典に苦手意識を

持っている若手ビジネスマンなどに

お勧めである。

渋沢栄一は「日本近代経済の父」あるいは「日本

資本主義の父」と呼ばれている。それほどに

明治維新後における日本の経済そして

ビジネス界で重要な存在であった。

多くの銀行や会社を立ち上げ、育て、後進の者

たちにそれを任せ、譲っていった。こうして

日本の社会に今につながる資本主義経済の

基礎をつくり、発展させていったのであ

る。その発展は「世界の奇跡」でもあった。

渋沢は、他方で『論語と算盤』を常に唱えて

いたことでもよく知られている。

正しい道徳を完全なものとしながらの経済活動

そしてビジネス活動でなければ、国の繁栄は

成り立たない。国の富や繁栄というのは、

仁義道徳、正しい道理に根源がなけれ

ば、決して永く続くものではないのだ。

これに対して、私は常に武士道の精神とビジネス

成功の知恵を合わせ持とうということを提唱

している。すなわち、人の世をしっかりと

生きていくためには武士道精神が必要で

あるが、これに偏りすぎて商才がまっ

たくないと経済的に自滅しかねないことになる。

論語の勉強はおもしろい。忠(誠実)と恕(思

いやり)と一つになった「忠恕」というもの

が、孔子の一貫した精神であるとともに、

論語を貫いている精神なのである。

私は、常に、精神の向上と経済力の向上をともに

進めることが必要だと信じている。人はこの点

から考えて強い信仰(信条や人生哲学、行動

規範)を持たなければならない。

目の前の仕事に全力をつくる。豊臣秀吉のよう

な大人物でさえ、初めて信長に仕えたときは

「草履取り」というつまらぬ仕事をさせ

られたのである。

オレは一流の学歴があるのに、こんな雑用や

下っ端の仕事をさせられるのはバカバカし

いと不平をいう人もある。しかし、これ

は間違っている。上の者がそういう仕

事をやらせているのには大きな理由

があるのだ。

およそどんな些細な仕事でもそれは大きな仕事

の一部分であり、これが満足にできなければ、

ついには仕事は簡潔しないことになる。

人も社会も習慣でつくられる。また習慣という

のは自分だけではなく、他人にも感染する。

善いことも悪いことも他人に伝わっていく。

渋沢 栄一 (著), 阿部 正一郎 (翻訳)

        『超訳・論語と算盤』

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  今回も最後までお読みくださり、

      ありがとうございました。感謝!

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