堤義明、盛田昭夫、松下幸之助、竹下登、
田中角栄。
この5人は、いずれもカリスマ性豊かな
ゆえに共通点がある。
一方で、批判、悪評めいたものを受け
ながらも、いずれも卓抜な「人を動かす」
達人である点である。
つまり、部下に“やる気”をかもす達人で
あるということである。
そこで、ビジネスのポイントというものが
いかに人間掌握術をよくし、いかに人を活かす
かにあるということに鑑み、そこに絞り込んで
この達人たちの奥義を検証、明らかにしてみた。
西武グループの堤義明の帝王学は、義明が
早稲田大学商学部在学中から、父親の康次郎が
他界までの10年間、徹底的に仕込まれた
ものだった。
堤義明は、次のように述べている。「1日
4,5時間はベッタリ父親のそばで仕込まれた
10年間だった。もっというなら、
怒鳴られ続けた10年間だった。
堤オーナーの起床は午前4時。上が動か
なければ何も始まらない。
吉田茂、岸信介、田中角栄といった宰相は、
いずれも悪評がついて回った。
しかし悪評を浴びた時点と、歳月を経た
今では評価は変わっている。
ある記者はこういっている。「堤義明が
あれだけモーレツ主義をとり、一方で批判の
声を聞きながらも超然としていられるのは、
結局、彼が『自分を知り尽くしている』ことに
ほかならないんじゃないか。
自分を知っていれば、悪評どこ吹く
風で腹も立たない」
「人を選ぶときは、やっぱり『目』ですよ。
目が澄んでいなくてはいけない」(堤義明)
ソニーの盛田昭夫は、超一流の「国際人脈」
6000人の情報網を持っていた。
盛田の国際人脈の豊富さは、これはなんとも
凄まじいばかりであった。
ソニー会長室のコンピュータには、交友簿の
データがすべてインプットされていた。
そして必要があれば、国際電話一本かけて
しかるべき超一流の情報を収集する
といった按配なのだ。
世界的な規模で仕事を成功させるためには、
まずそれ相応の人脈がなければならない。
人脈の豊富さはまた、情報の質量と正比例する。
第一級の情報というものは、紙に印刷された
ものではなく、人からの「生の声」である。
「どんなに苦しくても、打つべき手という
ものはある」(松下幸之助)
いうまでもなく危機、トラブル、困難、苦境が、
人間にとっては最高の教科書であることに
かわりはない。
竹下登が佐藤栄作内閣の官房長官時代に、
一年生議員を集めた勉強会を作った。
そこで口がすっぱくなるほど伝授したのが、
「汗は自分でかく。手柄は人にあげる。そのくらい
の気持ちで物事に対処せよ」ということだった。
人の話を聞くことから、すべてが始まる。
妥協点を徹底的に探る。
「佐藤栄作さんは人の話をよく聞いた
点でも白眉だった。
自分の意見は最後までいわず、あとから
自分の意見をまとめるという、『待ちの
政治家』といってよかった」(竹下登)
佐藤栄作首相は、他人の話をよく聞くことで
情報としての分析をよくし、その上で妥協点
をさぐるという極めつけの聞き上手と
いうことだった。
竹下登は中堅議員のころ、5年間の長きに
わたって国会対策副委員長のポストで
汗をかいた。
4人の国対委員長に仕えるなかで、独特の
国対ノウハウをあみ出した。
この国対ノウハウ2か条は、今でも自民党
国対関係者の範典となっている。
1.靴のカカトをすり減らして国会内を歩き
回ること。すなわち、党内、野党との徹底的な
ヒューマンリレーションに徹するということである。
2.政策性を没却すること。すなわち、理屈は
忘れて野党の言い分をトコトン聞く。バカ
バカしいと思っても、ジッと聞く。
そこから問題の妥協点も法案の修正点も、
おのずから浮かび上がってくるのである。
小林吉弥
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