会津武家女性の教えに、例え何があろうと涙は
見せぬ、「まつげを濡らさない」がある。それ
は、何事にも挫けることなく己の信念を貫い
た武家女性の生きる姿勢である。
その人生は、時代に翻弄されながらも、信念を
貫く芯ある生き方であった。会津の武家女性の
教育という観点から、八重の生き方を探ると
き、不安に怯える現代の私たちに、さま
ざまな生きるヒントが見出される。
礼法で心を鍛え、精神コントロール
を自在にする。
新島八重は、小笠原流礼法を学んでいる。
ごく幼い頃から母親が日常生活の中で教
え込む。家格の高い家では教育係が教える。
会津藩に限らず、武家では小笠原流
礼法を身につけた。
武家政権となった鎌倉時代から、京都の公家
との交際をスムーズにするために、荒くれの
武士たちに礼儀作法を教えるようになった。
すべての雑念を払い、ひとつの
ことに一心になる。
茶の湯。仕事や趣味など、何かを打ち込む
ことで悲しみを乗り越えた人は少なくない。
八重も晩年には茶の湯の稽古に励んでいる。
茶の湯は「おもてなし」という側面ばかり
がクローズアップされがちだが、最も重要
なのは、茶の湯の原点である「独服」
であるとされる。
「独服」とは、自分のために茶を点てる
こと、自分自身をもてなすこと。
独服は、「自分を大事にできない人が他の人
を大事にできない」という真理を表している。
自分自身と向き合うところに茶の原点がある
ということは、稀代の茶人でもあった
井伊直弼も説いている。
「自分と向き合う」という原点は、禅と共通
するところであり、茶の湯と禅は切って
も切り離せない関係にある。
いつどんな時も動じない心。
無駄なく、隙のない仕草でお点前をしながら、
いつしか無我の境地に至る。あとに残る
のは安らぎに満ちた静寂である。
石川真理子『武家の女は、まつげを
濡らさない:新島八重』
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