「奥の院」としての米国の情報機関は、国内に
おける「党派的色彩」という演出とはまっ
たくの無縁の存在となっている。
さらにもう一つ、米国の「奥の院」として
無視できない、いや、そもそも「奥の院」
の総本山として無視できない存在が
ある。それはいわゆる「パワー・
エリート」という閉鎖的な
集団の存在である。
アメリカの経営者やセレブにはなくて、
パワー・エリートが持っているものが
一つだけある。それは「血縁」である。
こうした米国の「奥の院」である3つの要素、
つまり表面上の民主的ルールとはまったく
合致しない、3つの構成要素が、米国
社会の中で一つのネットワークを
織りなしている。
軍隊という「物理的強制力」と、情報機関
という「情報力」、そして移民国家アメリ
カには稀な血筋という「閉鎖的ネット
ワーク」を併せ持った集団が存在
することを、外交官としての
職務を全うする中で、私
は偶然知るに及んだ。
日本の強みは、一般に「弱み」「問題点」と
して糾弾されることの多い既存の「構造」に
こそある、ということである。「談合体質」
「封建的」「権威主義的」など、あえて
逆手に取った形で、再評価していきたい。
いわば日本人が「つるんでいる状況」こそが、
マーケットあるいは社会の外にいる者からす
れば不可解であり、脅威の対象なのだ。
冷戦構造崩壊後の米国外交の動きを見ている
と、表面的な主張はともかく、その背後には、
「資源」確保という命題があることに気づく。
イラク(原油)、北朝鮮(鉱物資源)といった
「問題地域」には、いずれも莫大な
資源が眠っている。
「カネは天下の回りもの」という諺にいう
とおり、米国によってつくられた「日本の
失われた十年」の仕組みを知った方々は、
今度は応用問題を解くつもりで中国に
仕掛けてみればよい。
中国あるいは台湾といった地図上の「中国系
国家」の陰に隠れつつ、血縁として圧倒的な
団結力を誇る華僑・華人集団が狙っている
のは、むしろ日本であることを
忘れてはならない。
経済の世界ではもはや「仁義なき戦い」が
始まっているのである。そこに過去に
対する「感傷」は必要ない。
原田 武夫 (著)『騙すアメリカ、騙される日本』
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今回も最後までお読みくださり、
ありがとうございました。感謝!