ネット情報を仕事や暮らしの中で、当たり前
に生かしていく。そのためにはちょっとした
コツが必要です。ウェブ検索の基本から
始めて、効率的な保存法、ウソと事実
の見分け方、情報をまとめて、ソー
シャルメディアなどを通じて伝え、
共有していくためのポイントと、
安全に使いこなすためのルール。
デジタル化された情報のあつかい方は、紙の
情報とは根本から違うようだ。その勘所は
「整理をしない」ということに尽きる。
情報をあつかう上で最も重要なことのひとつ
が「確認」。新聞記者の取材の中では
「裏をとる」という。
複数の人々の視点を借りることで、ある出来事
や情報についての、様々な側面や矛盾点なども
見えてくる。ジャーナリズムでは、三角測量
(トライアンギュレーション)と呼ばれる。
ウィキペディアは情報を調べる手始めとしては
良いが、間違いや意図的な偽情報も紛れ込ん
でいるので注意が必要。
情報は必ず一次情報までさかのぼることが重要。
情報の内容だけではなく、発信者を確認する
ことも役に立つ。対立するデータを突き
合せて情報の評価を。
私は原稿を書くときには、まず真っ先に見出し
を考える。記者として、デスクや先輩記者に
言われ続けたのが、「一言でいうと、どう
いうことなんだ」です。取材が足りなか
ったり、それをきちんと咀嚼できて
いなかったりすると、原稿は焦点
のぼやけた、散漫な内容になっ
てしまう。そんな時にデスク
の口をつくのが、さっきのセリフだ。
私は新人時代、デスクから「新聞記事は10を
聞いて1を書く」と教えられた。取材では集
められるだけのデータを集めるが、記事
を書くときには本当に大事な1割だけ
を記事に盛り込む、という意味だ。
それだけ徹底した取材をせよ、
ということでもあり、情報
は思い切って捨てること
で残った情報の価値が
際立つ、ということでもある。
米国のジャーナリスト、ダン・ギルモアも同じ
ようなことを述べている。「私には記者として
の経験則がある。取材で得た情報の1割程度
が記事に盛り込んであれば、きちんと書け
たかなと自分でも自信が持てる。つまり
事実関係や関連情報を過剰なぐらい
集めていくと、必然的に取捨選択
が必要になる。それは情報を隠
すことではなく、本当に大事
なことだけを記事にすることにつながる」
面白かった話から。記事の書き方といえば、
新人記者のころに教わったひとつのコツが
ある。ある市長のインタビュー記事が
うまくまとまらず、取材ノートを
めくりながら途方に暮れていた
ときに、先輩記者がこう教えて
くれた。「一番面白かった
話から順番に書けばいい。
行数になったらおしまい」
もはやビジネスとインターネットは切り離せ
ない時代、ネット情報を使いこなすコツは
「収集」「保存」「確認」「編集」
「発信」「共有」「安全」の7つ
の力を身につけることです。
平 和博 (著)『新聞記者のネット情報活用術』
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今回も最後までお読みくださり、
ありがとうございました。感謝!