永続的に発展する企業になるための条件。
このことは経営者のみならず
企業活動に関わる方なら、
誰もが関心を抱くテーマだと思います。
名経営者・稲盛和夫氏は
月刊『致知』2012年10月号の
第69代横綱・白鵬翔氏との対談の中で
その答えを明確に示されています。
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〈白鵬〉
私は参加できませんでしたが、
去年の盛和塾の大会で
稲盛塾長がお話しになった内容に皆さんが
大変感動されたと聞きましたので、どんな
お話をされたのか、ご紹介いただけませんか。
〈稲盛〉
あの時は、
「永続的に発展する企業になるには
三つの大切なことがある」
とお話ししたと思います。
これは企業に限らず、個人の人生にとっても
大切なことだと私は思っています。
一つは「謙虚にして驕(おご)らず」。
例えば大相撲の世界でいえば横綱はトップです
から、おそらく周りからチヤホヤされて、
自分では威張るつもりがなくても、ついつい
そういう形になってしまうことがある。
その中にあって、謙虚さを維持していく
ことは相当な修業だと思うんですね。
大体、頂点を極めた人が没落していくのは、
謙虚さを失って傲慢になった時です。
これは経営に限らず、
スポーツでもなんでも同じだと思って、
「謙虚にして驕らず、さらに努力を」
と自分に言い聞かせてきました。
27歳で京セラの経営をやらせていただいて、
KDDIをつくり、そして
今回JALを再建しましたが、
80歳になったいまもそう思っています。
二つ目は「思念は業(ごう)をつくる」
ということです。
人間は人生のその時々でいろいろな思いを
抱くわけですが、その思いが様々な業、
つまり原因をつくっていくんだと。
いいことを思えばいい原因をつくるし、
悪いことを思えば悪い原因をつくる。
仮に思っただけで、
口に出したり実行しなかったとしても
原因になるのです。
だから「思い」というものを
軽々に考えてはいけないと思っています。
本当に長い間、人生を極めていこうと思えば、
「どんな思いを抱くか」が大切だと思いますね。
〈白鵬〉
「思いは実現する」という言葉をよく聞きます。
〈稲盛〉
そうですね。思念は実現します。
それはすぐには実現しないけれども、
思いが積み重なって、やがて現実になる。
だから常日頃どんな思いを抱いているかが
大切だと思ってきました。
三つ目は「宇宙の心と一体になる」と
いうことです。
〈白鵬〉
宇宙の心、ですか。
〈稲盛〉
私は「謙虚にして驕らず、さらに努力を」
「思念は業をつくる」と思って
経営を続けてきたわけですが、
ある時感じたんですね。
宇宙には森羅万象、すべてのものを
いい方向に生かそうとする、
そういう素晴らしい愛の心、
思いやりの心が充満しているということを。
ですから、その宇宙の心に沿った思い、
つまり愛の心、優しい思いやりの
心を抱いて行動をすれば、必ず宇宙は
手助けをしてくれると思ってきました。
長い間会社を発展させていくには、
宇宙の心が支援してくれるような
考え方を持たなければなりません。
★稲盛氏は『致知』を長年、
応援してくださいました。
2022年12月号「追悼・稲盛和夫」は
稲盛氏への感謝と哀悼の気持ちを込めた号です。
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今回も最後までお読みくださり、
ありがとうございました。感謝!