──修行日記【489日目】──
腹痛い、たまらん。体の節々痛く、たまらん。
道に倒れ木に寄りかかり、涙と汗と鼻水垂れ流し。
でも人前では毅然と。俺は人に希望を与える
仕事、人の同情を買うような行者では
行者失格だと言い聞かせ、やっと帰ってきた。
何で48キロ歩けたんだろう。
さっき、酒屋のおばちゃんがすれ違いざま、
「軽い足取りやねえ、元気そうやねえ」と。
俺は「はい、ありがとうございます」
と答えたが、本当は違うんだよ。
俺の舞台裏は誰も知らないだろう。
いや知ってくれなくていい。
誰に見られるということを
意識しない野に咲く一輪の花のごとく、
御仏に対してただ清く正しくありたい。
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これは、往復48キロ、高低差1,300メートルの
山道を毎日16時間かけて9年間歩き続ける
大峯千日回峰行を満行された塩沼亮潤さんの
日誌の一端です。
1300年の歴史の中で、大峯千日回峰行を
満行されたのはたったの2人です。
塩沼さんは、超人的とも言える
過酷な修行の末に何を掴まれたのか──
──修行日記【999日目】──
今の心が今までで一番いいなあ。
この心がずっと変わらないといいなあ。
体が言うことをきくなら、ずっと歩いていたい。
もしこの体に限界がないなら、
今の心のまま永遠に行が続いてほしい。
人生生涯小僧でありたい。
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今回も最後までお読みくださり、
ありがとうございました。感謝!