足りないと感じたところを改善すると.また新たな課題が見えてくる 第 811 号

 飛騨高山市内に、行列の絶えないパン屋さん

があるのをご存じでしょうか?

 「パンが輝くかどうかはつくる人の人間性」

 と説く、成瀬正さんのお店には、どんな

ドラマがあるのでしょうか。

───────「今日の注目の人」───

成瀬 正(トラン・ブルー オーナーシェフ)

───────────────────

──岐阜県高山市に行列の絶えないパン屋さん

 があると聞いてやってまいりました。

  ひっきりなしにお客様が来店されていて、

 ものすごい繁盛ぶりですね。

 東京から4時間半ほど離れた田舎の小さな店

にもかかわらず、ゴールデンウィークや夏

休みになると、必ず100人以上のお客様

が開店前に並んでくださっています。

 多い時は行列が200人を超えることもあります

し、平日でも10人から20人くらいのお客

様が待っていてくださっています。

 地元の方はもちろん、わざわざ他県から何時間

もかけて車や電車で来られる方も多いですね。

──なぜこれほどまで人気があるのでしょうか。

 うちは珍しい素材を使ってパンづくりを

しているわけでも、フランスで修業し

て帰ってきたわけでもありません。

 特に変わったことはしていません。

 ただ、私は決してお客様の期待を裏切っては

いけないという強い気持ちがあり、目の前

の商品がもっとよくならないか、と常

に高みを目指して仕事に打ち込んできました。

 
(中略)

 
 私はパン職人になって30数年経つんですけど、

いまだに自分が理想とするパンに仕上が

ったことは一度もありません。

──一度もないのですか?

 もちろん食べるとおいしいですし、

商品としては合格点です。

 しかし、足りないと感じたところを改善

すると、また新たな課題が見えてくる。

 その繰り返しだから終わりがないんです。

 店名の「トラン・ブルー」っていうのは、

フランス語で「ブルートレイン(寝台

列車)」の意味です。

 目的地に向かって長い距離を夜通し走り続ける

ブルートレインのように、果てなきパンづくり

の道をひたすらコツコツと進んでいき、地方

できらりと輝く店を目指すという

願いを込めているんです。

 ※かつては家業に自信の持てなかった

 成瀬さんは、いかにしてパン職人

 として繁盛店をつくり上げたのか。

 続きは本誌で。

『致知』2017年10月号【創刊記念号】

           特集「自反尽己」P40

今回も最後までお読みくださり、ありがとう

             ございました。感謝!

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