輸送路の生命線となったエジプトのスエズ運河 第1,704号

 20世紀最大の社会実験を新たな視点で読む!

 帝政を打倒し、世界初の社会主義国家ソヴ

ィエト連邦を樹立したロシア革命。第一次

世界大戦を終わらせ、農民や労働者を貧

困から救い、生活環境を改善するとい

う崇高な理想を掲げスタートした国

家が、奇跡的な成功を収めた後、

いかに当初の精神を失い、粛

清の嵐が吹き荒れる独裁体

制へと変貌を遂げていったのか。

 1917年のロシア革命から100年を迎える20

17年、人類最大の社会実験である社会主義

革命の意味を、レーニン、トロツキー、

スターリンなどの人間模様、石油利

権に群がる政治家と財閥の姿を

通しながら検証する。

 ソ連はやがて経済崩壊を起こし、共産主義

を放棄して、資本主義になだれ込んだ。

 またそれを見てほくそ笑んだ、アメリカとヨー

ロッパの強大な資本主義経済支配者が、秘密

の人脈を通じてソ連に乗り込んで、ソ連の

産業を食い物にしてきた。それが「ロ

シア革命」の結末であった。

 バグー油田の権益と、フランス

との密約貿易。

 思い返せば、レーニンが、トロツキーが、

スターリンが、民衆に倒すべき標的を教

えることによって、1917年のロシア

十月革命が成し遂げられた。その

とき、標的としたのは、まさし

く一群のブルジョワジーであった。

 しかし、革命家グループが手に入れようと

臨んだものの中には、実はバグーの油田

がもたらす莫大な富と財宝があった。

 後年のナチスによるソ連侵攻作戦も、やは

り最大の目的地がバグー油田にあった。

つまり問題は、ロシア革命後の

バグー油田であった。

 バグーをめぐる国際的人脈。

 ダイナマイト一族のノーベル兄弟が権益を

確保したバグー油田は、1883年からフラン

スのロスチャイルド財閥の手で石油の販

売が開始され、バグーと黒海のバトゥ

ーミまで鉄道が敷設される大事業

に踏み出していた。

 ロスチャイルド一族のユダヤ人サミュエル

が興したシュル輸送貿易の船は、貝殻の印

をシンボルマークとして、バグー油田か

らグルジアを経て黒海に運び出された

原油を積んで、ひとつが西に向かっ

イタリアで石油を陸揚げし、ヨ

ーロッパ全土に販売網を広げる

ことに成功した。

 もうひとつの航路は、南下してエジプトに

向かい、スエズ運河を抜けてインド洋から

東方、日本にまで達する大航海となった。

したがって、バグーの石油産業にとって

輸送路の生命線となったのが、エジ

プトのスエズ運河であった。

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 今回も最後までお読みくださり、

    ありがとうございました。感謝!

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