『致知』で「生命科学研究者からのメッセージ」
を連載されている筑波大学名誉教授の
村上和雄先生が4月13日、逝去なさいました。
謹んでご冥福をお祈りいたします。
村上先生は長年、『致知』をご支援いただいた
識者のお一人です。
遺伝子工学の世界的権威として高名な先生です
が、遺伝子を研究する中で、その構造や働きが
偶然に生まれることはあり得ず、「人智を超え
た偉大なる存在」なしに到底説明は
できないという結論に至られました。
先生は「人智を超えた偉大なる存在」を
「サムシング・グレート」と名づけられ、
その言葉は仕事のジャンルや世代を超えて
広く人々に知られるようになりました。
先生の偉大なご功績は
いつまでも後世に語り継がれることでしょう。
ご生前の村上先生を偲び、
ご著書『スイッチオンの生き方』(致知出版社)
から心に残る言葉をご紹介します。
★『致知』最新号にも村上先生の連載は掲載
されています。
こちらから
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【人間の無限の可能性】
眠っている遺伝子のスイッチをオンにすることが
できれば、「こうあってほしい」と望むような
ことは、ほぼ100%可能といってもいいと
思います。
それどころか、頭で考えて「こんなことはダメ
だろう」と思うようなことも可能にする能力を、
私たちの遺伝子は持っていると考えられます。
科学的に見た可能性の限界など、全く意味が
ありません。人間の想像をはるかに超えた
情報が、遺伝子には書き込まれているのです。
【能力の差を生むもの】
人間という存在を遺伝子レベルで見れば、
学校の成績が良かろうが悪かろうが、
身体が強かろうが弱かろうが、
99.5%以上は誰でも同じです。
能力に差があるとすれば、遺伝子を眠らせて
いるか、目覚めさせているかの違いだけです。
その違いは、心のありようや環境などによって
生じます。
人との出会いや環境の変化などによって、眠れる
遺伝子のスイッチがオンになるとき、人は生き
ながらにして生まれ変わることができるのです。
【サムシング・グレート】
万感の書物に匹敵する膨大な遺伝子情報を極微
な空間に書き込み、しかも、それを一切の休み
なく作動させている遺伝子とは、まさに奇跡と
しか表現のしようがないものです。
人間の理性や知性をはるかに超えたものの働き
によって誕生したと考えるしかありません。
私はそこに人智を超えたものの存在を感ずるの
です。
そういう存在を、「偉大なる何か」という意味で、
私は「サムシング・グレート」と呼んできました。
【生かされている生命】
人間の生命については、まだわからないことだら
けなのです。呼吸にしても、血液循環にしても、
人間の力で調和的に持続的に働かせることは
不可能です。
しかし、それでも私たちは生きている。
何もわからないままに──。
そう考えてみると、いったい私たちは何事が
起こっているのかと思うのです。
これは「生きている」というようなものでは
なくて、「生かされている」というしか
ありません。
【生き物を生かす不思議な力】
サムシング・グレートとは、具体的なかたち
を提示して、断言できるような存在では
ありません。
大自然の偉大な力ともいえますが、神といって
もいいし、仏といってもいいような存在です。
とらえ方は自由なのですが、ただ、私たち生命
体の大本には何か不思議な力が働いていて、
それが私たちを生かしている。
私たちはそれによって生かされている、
という気持ちを忘れてはいけないと思います。
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今回も最後までお読みくださり、
ありがとうございました。感謝!