「指導には信念を込めろ」「理論は超越
しなければならない」ほか、47の
“広岡イズム”を凝縮。
スポーツ関係者にとどまらず、すべての
指導者、教育者、管理職、経営者必読!
基本を身体に刻み込ませろ。
指導が自己流になってはいけない。
セオリーがあるのに、監督は何を
選手に教育するのでしょうか。
私は、基本を選手の身体に刻み込ませる
ことが真の教育と考える。
基本が身についていれば、プレーに正確
さが出るし、そこから応用動作に
発展させることも簡単だ。
プロであっても基本ほど大事なものはない。
むしろプロの選手こそ、当たり前のことを
当たり前にできる能力が必要だ。
しかし、そう思っていない選手がいる。
基本を強調すると、「そんなこと、わかって
いるよ」とふくれっ面する。
そんなときに、指導者はどう対応すればよいか。
「あれこれ考えずに、とにかくやって
みろ」この一言を伝えなさい。
頭でっかちな者ほど「今さら基本なんか練
習して何になるんだ」という態度をとる。
実際そのとおりにプレーできなければ
知らないのと同じ。
何度やっても、その基本動作を
正確に繰り返させる。
野球のプレーとは、条件反射のように瞬間的
に動かなければならないのがほとんど。
無意識のうちに身体が即応して動く
ようにならなければならない。
基本動作を身につけるために、
どうしたらいいか。
答えは一つ。「反復練習だ」
選手は繰り返し練習すること。
「こんなことが本当に役立つのか」と
いう疑念は、上達の妨げになるだけ
だから、捨てることだ。
選手は、基本動作に慣れてくると、
すぐ難しいプレーに挑戦したがる。
そのほうが面白いからだ。
しかし、基本から外れたプレーを繰り返
せば、悪いクセがつき、逆効果となる。
基本に勝る練習はない。
理論は超越しなければいけない。
そのために特打・特守などの練習がある。
もし理論だけで社会が動くならば、利口
な人ばかりが頂点に立つようになる。
しかし、実際は違う。
尊敬される人物は、理論を超越できた人だ。
どんな人かといえば、「わかりました」
とはすぐに言わない人。
自分が納得できるまで一つのことを突き
詰めてやり、頭で考えずとも身体が動
くようになるまで積んだ人物だ。
理論が先立っている選手が上のレベルを
求めるならば、一度基本に戻って
猛練習することだ。
それを根気よく指導し続けるのが、
周囲にいる監督やコーチの役割だ。
反復練習によって理論を身体に覚え
させてこそ、「わかった」「理解
した」といえるのだ。
野球の特守や特打もそのためだ。
特守は千本ノックと呼ばれる。
最初はかっこよく捕り、投げようとする
がやがてフラフラになる。
すると球以外は何も見えなくなり、無我夢中
でボールに飛びつくだけの繰り返しになる。
そのときに余分な力が抜け、身体が
本来の守備のあり方を覚える。
基本とは頭で覚えるのではなく、汗と
ドロにまみれて身体に覚えさせて
こそ身につくのだ。
退路を断たれたとき、人間は理論を超える。
「打撃の神様」と呼ばれた川上哲治さんも
スランプになると若い投手を2、3人連れて
多摩川球場へ行き、カーブばかり投げさせた。
はじめは打ち損じもあったが、そのうち
にカーブが曲がる瞬間、ボールが一瞬
止まって見えるようになったそうだ。
理論を超越する。
それは並大抵の努力でできることではない。
しかし、一流と呼ばれる人は、それを
不断の努力でやってのける。
理論を超越して、無心でプレーできて
こそ、理論は生きるのだ。
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今回も最後までお読みくださり、ありがとう
ございました。感謝!