沖縄米軍基地や尖閣など、多くの問題が噴出して
いる現在、日本の外交下手は、そもそも「情報を
どう読み、どう活用するか」という問題に端を
発しており、それは同時に「日本人とはなに
か」を問うことにほかならない。
定点観測は、土地勘のある分野から。
情報感覚を養うための一歩として、自分の得意
分野から始めることをオススメする。
たとえば、扱っている商品が工作機械であるとか、
旅行会社に勤めていて観光分野には強いとかなど
自分の得意な分野にアンテナを立てる。
人物情報というのは、真実と嘘を仕分けるときの
大切な基礎情報になる。
こうした資料は情報を判断するときの重要な枠組
み情報になる。
英国情報部は、人間とのつながりと、個々の人間の
プロファイリングをこの200年間徹底して
積み重ねている。
戦争の勝敗は、軍備でなく、むしろ情報量で決まる。
メディアからの影響に備えるために、いまアメリカで
盛んに行われているのが、メディア・リテラシー
という教育課程。
新聞の読み方やテレビの見方を学校で詳しく教える。
日本には国家戦略がないとよく言われるが、その根本的
な理由はただ一つ。
国のトップが極力楽観主義を廃し、「Aに転んだらC,B
に転んだらD」という具合に、一つの情報に対していく
つかシナリオを描いておく労力を避けているから。
シナリオを考えていないから、戦略もビジョンもなく、
つねに行き当たりばったっりになってしまう。
歴史をひもといてみると、優れたリーダーは、ほぼ
例外なく悲観論者。
日本人のアイデンティティの根幹を知る上で重要な
情報は、『古事記』や『日本書紀』。
一辺倒でない情報は信用できる。
価値ある情報の一例は、『太平記』。
南北朝時代とは、足利尊氏の「上手な政治」と
後醍醐天皇の「正しい政治」の対立時代。
世の中は複雑ですから「絶対に正しい」と
いえることなど、ほとんどない。
たとえば対立する意見の中にも、それぞれに
理にかなった部分がある。
数ある情報の中から、価値ある情報を見つけ
出す選別眼を養う方法がある。
それは、新聞の「ベタ記事」に注目するということ。
扱いの小さなベタ記事にこそ、重大な情報が
隠れていることが多い。
信用は、決定的な嘘をつくためにある。
「100年に一度、決定的な嘘をつくために、99年間
本当のことを言い続けよ」というのが、イギリス
の国家戦略の伝統といえる。
イギリスのBBCは国営の放送局で、正確で公正な
情報を流すので、世界的に信頼がある。
しかし、1944年のノルマンディー上陸作戦の重要
局面の時は、嘘情報を流し、敵を欺いた。
情報の本質は、「プラグマティズム」にある。
中国ビジネスで、デンマーク、ドイツ、イスラエル
がうまく言っている。
良い情報ネットワークをもってるから。
ドイツは冷戦時代から中国との関係を重視しており、
中東から中国にまたがる地域で隠れた形で深い
レベルの中独情報協力を続けてきた。
有名なのが、パミール高原にロシアの通信を傍受
する施設をドイツの連邦対外情報庁が中独共同
で運営してきたこと。
当初はソ連情報の収集目的だったが、そのタリバン
情報にドイツがやたら詳しいのは、これが
あるからというのが半ば公然の事実。
ドイツは、アメリカのイラク戦争に反対したが、
裏で情報面でアメリカに協力した。
バクダッドが早く陥落したのは、ドイツの情報員が
バグダッドの地理的条件や現地情報などをすべて
アメリカ軍に流したからだといわれている。
これは、明らかに二重外交であるが、ドイツの国際的
地位を向上させつつ、国益も確保した。
日本でも「アメリカにノーといえ」という声もあるが、
他方ドイツのようにつねに保険をかけておくことが大切。
戦略的思考とは、一口でいえば、つねに当面の
目標を強く意識して可能な手段を考え、手を
打っていく行動の仕方である。
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今回も最後までお読みくださり、ありがとう
ございました。感謝!