いま、医療の世界で注目を集める「ナノ
マシン」。
想像もつかないような極小レベルの世界で、
いまとてつもない研究が進められている
のですから驚きです。
夢を現実のものとした片岡一則さんの
開発秘話。
その一端をお届けします。
────────『今日の注目の人』──
◆ 未来を変える新薬「ナノマシン」 ◆
片岡 一則(東京大学大学院教授)
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──現在、片岡先生が開発されている
「ナノマシン」は世界中から注目を
集めていますね。
私が高校生の時に『ミクロの決死圏』という
SF映画が流行りました。
お医者さんとその乗り物をうんと小さくして
血管の中に送り込み、患部まで行って体の
中から病気を治してしまうという。
そういう映画だったんですね。
元ネタは手塚治虫さんの『38度線上の怪物』
という漫画だと言われていますけど、とにかく
その映画を見て結構感動したんです。
私が何を開発しているかというと、『ミクロの
決死圏』で描かれているような、血管から体の
中の微小空間に自由に入り込んで、病気を
治療したり診断したりする極小のマシン。
これを完成させることが一つの究極
の目標なんですね。
──半世紀前のSF映画の世界がより進化
した形で現実になりつつあると。
そうですね。
マシンと言っても歯車を組み合わせたり、材料
を切って貼り合わせる従来の機械ではなく、
いろいろな機能をつくり込んだ、高分子
ミセル(集合体)で、そのサイズは
50ナノメートルくらいです。
──50ナノメートルというのは……。
50万分の1ミリ、だいたい髪の毛一本の太さの
1,000分の1と言われていて、ウイルス
と同じ大きさなんですよ。
──想像もつかない世界です。
ナノマシンの第一段階としては、抗がん剤
を内包した高分子ミセル。
これをがん細胞の中心まで運び、
集中的に薬を働かせると。
副作用がほとんどなく、耐性がんや転移がん
にも非常に高い効果を発揮することが、
科学的に証明されているんです。
詳細は、『致知』2016年3月号P10
特集「願いに生きる」をご覧下さい。
今回も最後までお読みくださり、
ありがとうございました。 感謝!