安らかな時間を過ごし.痛みを和らげる薬を使わずに最期の日を迎える 第 186 号

 在宅ホスピス医として20年以上にわたり

患者さんの最期を見届けてこられた

内藤いづみさん。

 どんな患者さんであろうと、痛みを和ら

げる薬をほとんど使わなくても、苦しむ

ことなく最期を迎えられるといいます。

 これはすごいことですね。

────────[今日の注目の人]───

★ いのちと向き合う最前線から ★

内藤いづみ(ふじ内科クリニック院長)

   ×

中村桂子(JT生命誌研究館館長)

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【内藤】

 私がこの20年間を振り返って一番大きい

変化は、患者さんにモルヒネなど痛みを

和らげる薬をたくさん使わない

ようになったことです。

 昔はもう力ずくで痛みをゼロにしてあげ

ようと躍起になっていたものだから、

山梨県内で一番モルヒネを使う

医者でした。

 いまはそういった薬をあまり使わないで

も患者さんの痛みをうまく緩和して

見送れるようになりました。

【中村】

 それは素晴らしい。

【内藤】

 その見立ては、やはり20年の蓄積かなと。

 人にはそのコツをなかなか教えられないのは、

20年苦労しないとダメなんでしょうね。

【中村】

 それこそ時間の積み重ねでしか

できないことでしょう。

【内藤】

 最近の患者さんのお話をすると、その方は

山梨県内の山奥に住まわれていました。

 最初は家族と85歳のご本人がクリニック

に来られて、ぜひ私に診てもらいたいと。

 胃カメラのデータを見せていただいたら、

胃の入り口に大きながんがあって、医者

には余命が厳しいと宣告されました。

 でもご本人は、病院は嫌だと。

 自分が暮らしてきたところで最期の日を

迎えたいと言い張るので、では一緒に

頑張りましょうと。

 それから定期的にお伺いしましたけど、

何も大変なことが起こらずに、結局

モルヒネも一回も使わないままに

8か月で安らかに逝かれました。

【中村】

 苦しむことなく。

【内藤】

 ええ。それであと一週間くらいかなと

いう時に往診に行きましてね。

 その日は……

※いのちについて学びたいとこの道に

入られたという内藤さん。

 内藤さんだからこそ伝えられる 珠玉の

エピソードは、本誌でじっくりと

堪能してください。

『致知』 2016年5月号 

       特集「視座を高める」P52 

今回も最後までお読みくださり、ありがとう

            ございました。 感謝!

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