世界一清潔な空港として国際的に高い評価
を受けている羽田空港。
その羽田空港で、最近注目を集めている
のが掃除のプロ、新津春子さんです。
27歳にして全国ビルクリーニング競技会
で日本一に輝いた新津さんの掃除道とは──
────────[今日の注目の人]───
◆ プロが語る掃除道 ◆
新津 春子(日本空港テクノ環境マイスター)
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空港の清掃は特殊な仕事だし、たくさん勉強
できると聞き、私はアルバイトでもいいから
働きたいと懇願したんですけど、「いまは
募集していません。なおかつ、うちは
男性しか要らない」って断られたんです。
その言葉を聞いた途端、火が
ついちゃったんですね(笑)。
男性だけで、女性は要らないって
どういうこと?って。
それで意地でもこの会社に入り
たいと思ったんです。
常務に食い下がって「男性と同じペース
で、同じ量の仕事ができれば何も文句
ないでしょ?」 って言ったら、ある
日「これを読んでおいて」って
求人票を渡してくれました(笑)。
それで採用になったんです。
24歳の時でした。
その頃は「とにかく仕事を人一倍頑張れば、
皆が認めてくれる」と必死でしたから、
自分中心だったんです。
冒頭にお話ししたような心を込めて清掃する
とか、そういう考えは一切ありませんでした。
そのことに気づかせてくれたのは
鈴木常務なんですね。
──詳しくお聞かせください。
入社から3年経った時、私は全国ビルクリー
ニング技能競技会に会社の代表として出場
することになりました。
全国大会の前に予選大会があって、私として
は100パーセント出し尽くしたんですけど、
2位だったんです。
その結果に納得がいかなくて、常務に「何
がいけないの?」ってぶつけると、ひと
言「気持ちを込めていない」って。
私が「どうやって気持ちを込めるの?」と
聞くと、「急ぐあまり道具を使ったらポン
ポン投げるように置いているでしょう。
それが気持ちがないってことだよ。
道具をつくった人が見たらどう思う?」。
もう返す言葉がありませんでした。
そこから全国大会までの2か月間、私は道具
や物も人だと思って、使ったら「ありがとう」
って言いながら置くようにしていきました。
ただ、常務は「自分で考えろ」という
感じで細かいことは教えてくれない。
「気持ちを込めるにはどうしたらいいか」
って毎日考えていました。
ある日、お客様の動きをずっと見ている
と、答えが分かったんですよ。
※2か月後に開催された全国大会では見事
日本一の座を射止めた新津さん。
日本一に輝くために得た気づきとは
何だったのでしょうか。
本誌でチェックしてみてください!
『致知』2016年5月号
特集「視座を高める」P50
今回も最後までお読みくださり、ありがとう
ございました。 感謝!